スマートメータは信用できるのか? [技術動向]
Smart Meters, Dumb Backlash
アメリカのカリフォルニアにあるBakersfieldという都市がスマートメータを導入した。
ところが、多くの住民はスマートメータを憎んでいる。
スマートメータとは、各家庭の電力消費をリアルタイムに計測し
それを電力会社にネットワークを通じて即座に通知する機能をもつメータのことである。
システムは、電力消費量の増減を見て、電気の値段を動的に
変更することが可能になる(夏の暑い時期は高くするなど)。
すると、人々の電力消費量を減らすことがるので、
結果として過剰な電力消費による停電を防ぐことが可能になる。
Bakersfieldでの試験導入が2003年から2005年に行われ、
動的な価格変更システムによって13%の電力削減に成功した。
2006年から本格的に導入がスタートし、順調に運用されていたが、
2009年に急に住民が不満を言うようになった。
というのも、2009年の電気代が、例年の4倍近くまで跳ね上がったからである。
住民はスマートメータが壊れているのではないかと疑念を抱くようになった。
電力会社PG&Eは、その疑念は間違いであると主張したが、
騒ぎは収まるどころか大きくなり、結局、法廷で争われることになった。
そして、調査会社が調査を行った結果、スマートメーターに問題はないことが判明した。
それではなぜ2009年に急に住人が疑念を抱くようになった理由は何か?
2009年の夏は、Bakersfieldはとても暑かったのである。
(例年華氏100度を超える日は6日しかないのに、その年は17日もあった。)
これにより、電力消費が短期的に跳ね上がり、結果として、電気代が跳ね上がったのである。
結局、問題だったのは、
どのような料金体系が敷かれているのか住民が理解できていなかったこと、
(4つの料金帯を使用量に応じて遷移するシステムがとられていた)
そして、その手助けをPG&Eが行わなかったこと、
そして、疑念の沸き始めの際のPG&Eの住民への対応が非常に悪かったこと、
である。
スマートメータの技術に何の落ち度もなかったのであるが、
Bakersfieldでの一件は、スマートメータの評判を落とした。
別の都市にスマートメータを導入する際にも、
Bakersfiledでは何がおきたのか、そしてうちの都市では起こらないようにするにはどうしたらよいか、
を必ず聞かれるようになった。
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